Emulate3Dとは?デジタルツインで立上げを革新

Emulate3D(エミュレートスリーディー)とは、工場や物流施設のデジタルツインを構築し、生産ライン・搬送システム・制御プログラムをPC上で仮想的にテスト・検証できるRockwell Auotmationのシュミレーションソフトウェアです。設備を実際に製作する前の段階でPLC(シーケンサー)の制御プログラムを動かして動作確認できるため、現地での調整工数・施策費用・立上げ期間を大幅に削減できます。Rockwell AutomationはこのEmulate3Dをデジタル設計ライフサイクルの中核として位置づけており、2025年には工場全体をまるごとテストできる「Factory Test」機能を追加して日本市場での提供も開始しました。
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目次[非表示]
- 1.Emulate3Dとは何か
- 2.3つの主要機能:デモ・シュミレーション・シミュレーション
- 3.エミュレーション機能の仕組み:実機なしでPLCを動かす
- 4.2025年最新機能:Factory Test × Nvidia Omniverse
- 5.導入によって何が変わるか
- 6.活用できる業種と用途
- 7.よくある質問 (FAQ)
- 7.1.Q1. Emulate3Dとは何ですか?
- 7.2.Q2. シミュレーションとエミュレーションは何が違いますか?
- 7.3.Q3. Emulate3DはAllen-Bradley以外のPLCでも使えますか?
- 7.4.Q4. CADデータは取込めますか?
- 7.5.Q5. VR(バーチャルリアリティ)で見ることはできますか?
- 7.6.Q6. Emulate3D Factory Testとは何ですか?
- 7.7.Q7. Emulate3Dを使うとどれくらいコストを削減できますか?
- 7.8.Q8. Emulate3DはStudio 5000(Allen-Bradley PLCのプログラミングソフト)と連携できますか?
- 7.9.Q9. 物流センターの倉庫設計にも使えますか?
- 7.10.Q10. ControlLogixやCompactLogixとの接続は複雑ですか?
- 7.11.Q11. Emulate3Dの導入や相談はどこにすればよいですか?
- 8.まとめ
Emulate3Dとは何か
Emulate3Dは、工場・物流センターの設備や生産ラインを3次元でデジタル化し、「設計の検証」「生産能力のシュミレーション」「制御プログラムのテスト」という3つの用途を一つのソフトウェアで完結させるツールです。
CADデータをインポートして現場を3Dで再現し、その仮想空間の中でコンベア・ロボット・AGV(自律走行搬送車)などを実際に動かすことができます。さらに、実機のPLCと仮想モデルをネットワーク経由で接続することで、現場に設備がなくても実際の制御プログラムで動作を確認できます。これにより「設備をつくってみたら問題が発覚した」という手戻りを設計段階のうちに防ぐことができます。
ポイント:Emulate3Dの最大の価値は「実機を作る前に、実際の制御プログラムで動かして確かめられる」という点にあります。施策コストと現地調整工数を同時に削減できる、スマートファクトリー時代の開発手法です。
3つの主要機能:デモ・シュミレーション・シミュレーション
Emulate3Dは目的に応じて3つの機能を使い分けます。
機能 | 内容 | 主な活用シーン |
|---|---|---|
デモンストレーション | 設備・ラインの3Dモデルを作成し、動作アニメーションや動画・VRを生成 | 社内プレゼン・顧客提案・展示会デモ・仕様共有 |
シミュレーション | 生産ライン全体の物流・稼働率・ボトルネックを統計的に分析 | 新ラインの成立性検討・AGV最適台数算定・レイアウト変更の事前検証 |
エミュレーション | 仮想モデルと実機PLCをネットワーク接続し、実際の制御プログラムで動作をテスト(デジタルツイン) | PLCプログラムの机上デバッグ・制御ロジックの事前検証・立上げ前の総合テスト |
この3機能がすべて一つのソフトウェアで完結する点が、Emulate3Dの大きな強みです。他のシミュレーションツールではデモ用途とPLC検証用途で別のソフトを使い分けるケースが多く、そのたびにモデルを作り直す手間が発生します。Emulate3Dではひとつのモデルをデモ・シミュレーション・エミュレーションに流用できます。
エミュレーション機能の仕組み:実機なしでPLCを動かす
エミュレーション機能はEmulate3Dの中核であり、最も価値の高い機能です。その仕組みを解説します。
通常のPLC開発では、制御プログラムを書いた後に実機の設備に接続し、現地での動作確認を行います。しかし設備が完成していない段階での確認はできないため、現場では設備を作りながら制御プログラムも平衡開発するという非効率が生じます。
Emulate3Dのエミュレーション機能では、Emulate3Dで作った仮想モデルをPLCの「代わりの設備」として使います。PLCは「Emulate3Dで動いている仮想のコンベアやロボット」に対して制御信号をおくり、その応答が返ってくるーー実機と同じ通信のやり取りが仮想空間で成立します。これにより、実際の設備の完成をまたずに制御プログラムのデバッグ・検証を進めることができます。
対応しているPLC接続プロトコルは以下の通りです。
接続方式 | 対象PLC・システム |
|---|---|
EtherNet/IP | Allen-Bradley ControlLogix・CompactLogixなど |
Rockwell CSP | Allen-Bradley 旧世代PLC |
内部SoftPLC | 物理PLCなしで仮想PLCとして動作 |
Mitsubishi SLMP | 三菱電機PLCシリーズ |
TwinCAT ADS | Beckhoff製コントローラ |
Siemens SIMIT Unit | Siemens PLCシリーズ |
Allen-Bradley PLCとはEtherNet/IPでネイティブ接続でき、Studio5000で開発したLogix制御プログラムをそのままEmulate3Dの仮想モデルに繋いでデバックできます。
2025年最新機能:Factory Test × Nvidia Omniverse
2025年はEmulate3Dにとって大きな転換点となりました。
Emulate3D Factory Test(2025年4月正式リリース・日本展開:2025年7月)
これまでのEmulate3Dが主に「設備単位・ライン単位」の検証ツールであったのに対し、Factory Testは工場全体をまるごとデジタルツイン化してテストすることを可能にします。
Rockwell AutomationはNVIDIA Omniverse APIとOpenUSDを統合し、工場スケールでの高忠実度シュミレーションとリアルタイムコラボレーションを実現しました。
- フォルトフレームワーク
- 故障・異常状態をシュミレーションして、システムの耐性・フォルト対応を事前に評価
- 工場全体の高精細3D可視化
- NVIDIA Omniverseによるリアルタイム高品位レンダリング
- タンク&パイプの自動作成
- プロセス設備の3Dモデルを効率的に構築
- 制御盤との接続シュミレーション
- 盤レベルの制御とフィールド機器の連携をまとめて検証
- カスタマイズ可能なAMR(自律走行搬送ロボット)機能
- AGV・AMRの搬送ルートや台数を工場スケールで最適化
「製造メーカーは、システムパフォーマンスを最適化して立上げ時間を短縮するため、拡張性と忠実性の高いデジタルツインを必要としています」(Rockwell Automation ソフトウェア&コントロール担当シニア・バイスプレシデント Matheus Bulho)
導入によって何が変わるか
Emulate3Dを導入することで、製造業の設備開発・立上げプロセスに次のような変化が生まれます。
立上げ期間の短縮(フロントローディングの実現) 従来は現地に設備が完成してから行っていたPLCのデバッグ・調整を、設計段階のうちに前倒し(フロントローディング)できます。現地での調整機関を大幅に短縮でき、プロジェクト全体のリードタイム削減につながります。
試作コスト・現地調整コストの削減 試作機を作る前にデジタル検証することで、物理試作の回数・費用を抑えられます。現地での反復調整にかかる交通費・宿泊費・人件費の削減効果もあります。
ボトルネックの事前発見 新ラインの稼働率・スループット・AGV最適台数などを、実際に稼働させる前にシュミレーションで把握できます。「設備を作ったら想定した能力が出なかった」というリスクを設計段階で潰せます。
品質・安全の向上 フォルトフレームワークを使って異常状態や故障シナリオを仮想空間で繰り返し試せるため、実際の稼働開始後のトラブルリスクを低減できます。
プレゼン・提案力の工場(デモ機能) 3Dモデルとアニメーション動画・VR体験を使った提案資料は、2Dの図面や仕様書と比べて顧客や社内関係者への説明力が格段に高まります。設備メーカー・SIerにとっては受注確度向上にも貢献します。
活用できる業種と用途
Emulate3Dは製造業・物流業の幅広い分野に対応しています。
分野 | 対象業種 | 主な検証内容 |
ディスクリート制御 | 自動車・タイヤ・産業機械 | 組立てライン・搬送システムの動作テスト、PLCプログラム検証 |
プロセス制御 | 化学・石油ガス・金属・水処理 | 連続プロセスの制御検証、PlantPAx連携テスト |
ハイブリッド制御 | 食品・飲料・医薬品・日用品 | 充填・包装ラインの能力シミュレーション、衛生設計の事前確認 |
物流・倉庫 | EC物流・配送センター | ピッキング導線・AGV台数・センターレイアウトの最適化 |
よくある質問 (FAQ)
Q1. Emulate3Dとは何ですか?
A. Rockwell Automationが提供する産業用デジタルツインソフトウェアです。工場・物流施設の設備を3D仮想空間に再現し、生産能力のシミュレーションや、PLCの制御プログラムを実機なしで検証するエミュレーションを行えます。
Q2. シミュレーションとエミュレーションは何が違いますか?
A.シミュレーションは生産ライン全体の物流・稼働率・ボトルネックを統計的に分析する機能です。エミュレーションは実機のPLCとEmulate3Dの仮想モデルをネットワークに接続し、実際の制御プログラムで動作を確認する機能です。「生産能力を調べる」のがシミュレーション、「制御プログラムが正しく動くか確かめる」のがエミュレーションと理解するとわかりやすいです。
Q3. Emulate3DはAllen-Bradley以外のPLCでも使えますか?
A. 使えます。三菱電機PLCへのMitsubishi SLMP接続、BeckhoffへのTwinCAT ADS接続、SiemensへのSIMIT Unit接続などに対応しています。またPLCを持っていなくても、内部SoftPLC(ループバック)機能で仮想PLCとして動作させることができます。
Q4. CADデータは取込めますか?
A. 取り込めます。世界的にシェアの高い主要CADソフトの拡張子に対応しているほか、STEP・IGESなどの中間ファイル形式にも対応しています。既存の設計データを活用して短時間でEmulate3Dのモデルを構築できます。
Q5. VR(バーチャルリアリティ)で見ることはできますか?
A.Emulate3Dで作成した3Dモデルをボタン一つでVR体験することが可能です。顧客への提案・社内プレゼン・設計レビューをVRで行うことで、2Dや通常の3D表示と比べて臨場感のある確認ができます。
Q6. Emulate3D Factory Testとは何ですか?
A. 2025年4月に追加された、工場全体を対象とした大規模デジタルツイン機能です。NVIDIA Omniverse APIと連携し、設備単位・ライン単位ではなく工場全体をまるごと仮想テストできます。フォルトフレームワーク(故障シミュレーション)やAMR経路最適化などもふくまれており、2025年7月から日本市場でも提供が開始されています。
Q7. Emulate3Dを使うとどれくらいコストを削減できますか?
A. 削減効果は設備の規模・複雑さによって異なります。一般的に、現地での調整回数の削減。試作機制作費用の削減・立上げ期間の短縮によって、設備開発全体のコストを大幅に圧縮できたという事例が国内外で報告されています。具体的な効果試算については愛電株式会社にご相談ください。
Q8. Emulate3DはStudio 5000(Allen-Bradley PLCのプログラミングソフト)と連携できますか?
A. できます。Studio5000で開発したLogixのプログラムをそのままEmulate3DとEtherNet/IP経由で接続し、仮想モデル上でデバッグできます。PLCプログラマーが普段使っている開発環境から離れることなく、デジタルツインを使った検証作業を行えます。Studio5000製品ページはコチラ
Q9. 物流センターの倉庫設計にも使えますか?
A.使えます。AGVやピッキングシステム・コンベア・仕分けソーターなど物流施設の搬送設備を3Dでモデル化し、処理能力・台数・レイアウトを事前にシミュレーションできます。新倉庫の建設計画や既存センターのレイアウト変更検討にも活用されています。
Q10. ControlLogixやCompactLogixとの接続は複雑ですか?
A. EhterNet/IPを使ってLogixコントローラに直接接続できるため、専用のゲートウェイや使いハードウェアは不要です。接続設定はEmulate3D内のTagBrowser機能でPLCのI/Oタグと仮想モデルのイベントを紐づける形で行います。ControlLogixの製品ページはコチラ
Q11. Emulate3Dの導入や相談はどこにすればよいですか?
A. 会いd年株式会社(Rockwell Automation正規代理店)にてご相談を承っています。製品の詳細説明から、お客様の設備・業種に合わた活用イメージの提案まで対応しています。お気軽にお問い合わせください。
まとめ
Emulate3Dは、工場・物流施設のデジタルツインを構築し、PLCの制御プログラムを実機なしで検証できるRockwell Automationのシミュレーションソフトウェアです。デモンストレーション・シミュレーション・エミュレーションという3つの機能が1つのツールに統合されており、設計段階から立上げ後まで製造設備のライフサイクル全体を支援します。2025年には工場全体をまるごとテストできる「Factory Test」機能がNVIDIA Omniverseとの連携で追加され、大規模なデジタルツインへと進化を遂げています。
「試作コストを削減したい」「立上げ期間を短縮したい」「制御プログラムの品質を上げたい」といったご要望をお持ちの方は、ぜひ愛電株式会社にご相談ください。


