Allen-Bradleyとは?Rockwell AutomationのPLC製品ラインをわかりやすく解説

Allen-Bradley (アレン・ブラッドリー)とは、Rockwell Automationが展開する産業用自動化機器の主力ブランドです。PLC (プログラマブルロジックコントローラ)をはじめ、モータードライブ、安全機器、HMI (ヒューマン・マシン・インターフェース)など、製造現場のオートメーションに必要な幅広い機器を揃えています。特に北米の製造業ではPLC市場で50%以上のシェアを持つとされ、自動車、食品、医薬品・半導体など多くの業種で事実上の標準(デファクトスタンダード)として採用されています。
本記事では、Allen-Bradleyとは何か、主要なPLC製品ライン(ControlLogix・CompactLogix・Micro800)の違い、そして製品選定のポイントをわかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.PLCとは何か
- 2.Allen-Bradleyとはどんなブランドか
- 3.Logixアーキテクチャとは何か
- 4.主要PLCラインアップの比較
- 4.1.ControlLogix : 大規模・複雑システムの中核
- 4.2.CompactLogix:コンパクトで高性能なミドルレンジ
- 4.3.Micro800 : 小型設備・スタンドアロン向けの入門ライン
- 5.製品ライン選定のポイント:どれを選べばよいか
- 6.よくある質問 (FAQ)
- 6.1.Q1. Allen-BradleyとRockwell Automationはどう違うのですか?
- 6.2.Q2. ControlLogixとCompactLogixの一番の違いは何ですか?
- 6.3.Q3. Allen-BradleyのPLCはどのソフトウェアでプログラミングしますか?
- 6.4.Q4. CompactLogixからControlLogixへ移行できますか?
- 6.5.Q5. 旧式のSLC-500やPLC-5から移行できますか?
- 6.6.Q6. Allen-BradleyのPLCはどこで購入できますか
- 7.まとめ
PLCとは何か
PLCとは「Programmable Logic Controller (プログラマブルロジックコントローラ) 」の略称で、産業用の制御機器です。「プログラマブル (Programmable) 」という名前が示す通り、プログラムを書き込むことで様々な制御動作を実行できる点が特徴です。
もともとPLCは、1960年代後半にアメリカの自動車産業において、それまで使われていた大量のリレー回路(スイッチを物理的に組み合わせた制御装置)を置き換えるために開発されました。リレー回路は生産ラインの仕様変更のたびに配線を物理的に組み直す必要があり、時間・コスト・スペースの全てにおいて非効率でした。PLCの登場によって、配線を変えることなプログラムを書き換えるだけで制御内容を変更できるようになり、製造現場に革命をもたらしました。
現在のPLCは、単純なON/OFF制御にとどまらず、センサーからデータ収集、他の機器との通信、上位システム (MES・SCADAなど)との連携まで幅広い機能をもっています。
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)とは何かについては、記事「PLCとは何か?シーケンサーとの違いも解説」もあわせてご覧ください。
Allen-Bradleyとはどんなブランドか
Allen-Bradleyとは1903年にアメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーで創業し、1985年にRockwell Automationに買収された後も、産業用制御機器のブランドとして継続されています。100年以上の歴史を持つブランドが、現在でもRockwell Automationの中核製品として使われ続けている点は、製造業における信頼性と継続性を示すものです。
現在のAllen-Bradleyブランドが提供する主な製品カテゴリは以下の通りです。
製品カテゴリ | 代表製品 | 概要 |
|---|---|---|
PLC / PAC | ControlLogix、 CompactLogix、 Micro800 | 生産設備・ラインの制御装置 |
モータードライブ | PowerFlex シリーズ | ACモーターの速度・トルク制御 |
HMI | PanelView シリーズ | タッチパネル式の操作・監視端末 |
安全機器 | GuardLogix、 GuardMaster | 安全制御・非常停止システム |
ネットワーク機器 | Strarixスイッチ | 産業用EtherNet/IP ネットワーク機器 |
これらすべて「Logix」と呼ばれる共通のアーキテクチャと「Studio 5000」という共通のプログラミング環境に対応しており、メーカーの製品間で一体的に連携できる点がAllen-Bradleyの大きな強みです。
Logixアーキテクチャとは何か
Allen-BradleyのPLC製品を理解する上で欠かせない概念が「Logixアーキテクチャ」です。
Logixとは、Rockwell Automationが開発した統合制御プラットフォームで、ControlLogix・CompactLogix・Micro800を含む主要PLCが同じ設計思想・プログラミング環境(Studio 5000)で動作します。これにより、小規模な設備から工場全体の統合制御まで、規模が異なるシステムで同じスキル・ソフトウェア・ライブラリを使い回すことができます。
例えば、小型機会にCompactLogixを導入した技術者がControlLogixを扱う場合も、プログラムの書き方や操作の考え方はほぼ共通です。技術者の育成コストや保守体制の標準化という観点でも、Logixアーキテクチャを統一採用する意義は大きくなります。
主要PLCラインアップの比較
Allen-BradleyのPLCは、設備の規模や用途によって大きく3つのラインに分かれています。
ライン | 代表機種 | 対象規模 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
ControlLogix | 5570 / 5580 / 5590 | 大規模・複雑なシステム | 工場全体の統合制御、自動車ライン、石油・ガス、冗長システム |
CompactLogix | 5380 / 5480 | 中小規模・単体設備 | 包装機、コンベア、OEM機械、食品・飲料ライン |
Micro800 | Micro820 / Micro850 / Micro870 | 小規模・スタンドアロン | 単体機械、小型設備、基本的な自動化 |
ControlLogix : 大規模・複雑システムの中核
ControlLogixは、Allen-Bradleyの中でも最も高機能なPLCシリーズです。1999年に登場して以来、大規模・複雑なシステム中核として世界中の工場で採用されてきました。
最大の特徴はモジュラー・シャーシ構成です。CPU・電源・通信モジュール。I/Oモジュールをラックに自由に組み合わせられるため、システムの規模や用途に合わせた柔軟な構成が可能です。CPUの冗長化(デュアルCPU)や、数千点規模のI/O対応など、工場全体をカバーする統合制御や高可用性が求められる環境に適しています。
最新世代のControlLogix 5590/5580は、1GbpsのEtherNet/IPポートを標準搭載し、モーションオーバーEtherNet/IPで最大256軸の同期制御にも対応しています。また安全機能が求められる場合は、同じLogixアーキテクチャ上で動作するセーフティ版「GuardLogix」が選択肢となります。
ControlLogixが向いているケース
- 複数ラインや複数設備を一つのコントローラで統合管理したい
- 冗長システム(フェイルセーフ)が必要な重要設備
- 高速・高精度のモーション制御が必要な工程
- 工場全体のSCADA・MESシステムとの大規模連携
CompactLogix:コンパクトで高性能なミドルレンジ
CompactLogixは、ControlLogixと同じLogix 5000制御エンジンを、よりコンパクトで低コストなフォームファクターに収めたシリーズです。DINレール取り付けが可能なシャーシレス設計で、省スペース・低コストを重視しながらも高い制御性能を実現しています。
プログラミングにはControlLogixと同じStudio 5000を使用するため、技術者は同一のスキルセットで両製品を扱えます。CompactLogixで開発したプログラムをControlLogixへ移行することも可能で、設備規模の拡大に合わせたスケールアップが自然にできます。
最新世代のCompactLogix 5380は、デュアルEtherNet/IPポートを内蔵し、DLR(デバイスレベルリング)やデュアルIPモードなど高度なネットワークトポロジーに対応しています。CompactLogix 5480は、Logix制御エンジンと並行してWindows IoTを同一筐体で動作させることができ、エッジコンピューティングやデータ収集を現場で完結させたい場合に選ばれています。
CompactLogixが向いているケース
- 包装機・コンベア・OEM機械など単体設備~中規模ラインの制御
- 省スペース・コストを重視しながらも高い拡張性が必要な設備
- 既存のCompactLogix環境からのアップグレード・更新
- エッジでのデータ収集・分析を現場コントローラで完結させたい設備
Micro800 : 小型設備・スタンドアロン向けの入門ライン
Micro800シリーズは、小型のスタンドアロン設備や基本的な自動化に特化したエントリーラインです。Micro820・Micro850・Micro870の3モデルがあり、コンパクトな本体に電源・CPUとI/Oが一体となっています。
ControlLogix・CompactLogixと比べると機能・拡張性は限定的ですが、価格面での優位性があり、シンプルな単体設備への導入ハードルが低い点が特徴です。プログラミングには専用の「Connected Components Workbench(CCW)」ソフトウェアを使用します。
Micro800が向いているケース
- 単体の小型機械・スタンドアロン設備
- 基本的なI/O制御で十分なシンプルな設備
- ControlLogix・CompactLogixへの移行前のパイロット導入
製品ライン選定のポイント:どれを選べばよいか
3つのラインの選び分けは、主に設備の規模・I/O点数・拡張性の要件によって決まります。
規模が大きく複数設備の統合制御や冗長化が必要な場合はControlLogix、中規模の単体設備・ラインでコストと性能のバランスを求める場合はCompactLogixが基本的な選択肢となります。どちらを選んでも同一のStudio 5000で管理できるため、将来的にControlLogixへスケールアップする際もプログラムの大きな書き直しが不要です。
また、既存設備の更新(レトロフィット)を検討している場合は、旧来のSLC-500やPLC-5からCompactLogix・ControlLogixへの移行ツールが整備されており、リスクを抑えた段階的な更新が可能です。具体的な製品選定については、設備の仕様や要件に合わせて愛電株式会社へご相談ください。
よくある質問 (FAQ)
Q1. Allen-BradleyとRockwell Automationはどう違うのですか?
A. Allen-BradleyはRockwell Automationが展開する主力ブランド名です。会社名がRockwell Automation、製品ブランド名がAllen-Bradleyという関係です。PLCやドライブなどの制御機器にAllen-Bradleyのブランドが使われています。
Q2. ControlLogixとCompactLogixの一番の違いは何ですか?
A. 主な違いは対象規模とシステム構成です。ControlLogixはシャーシ(ラック)ベースのモジュラー構成で大規模・複雑なシステムに対応し、CompactLogixはDINレール取付可能なコンパクト構成で中小規模の設備に適しています。どちらも同じStudio 5000でプログラミングでき、Logixアーキテクチャを共有しています。
Q3. Allen-BradleyのPLCはどのソフトウェアでプログラミングしますか?
A. ControlLogixとCompactLogixは「Studio 5000 Logix Designer」を使用します。Micro800シリーズは「Connected Components Workbench (CCW)」を使用します。 Studio 5000はラダー図・ファンクションブロック・構造化テキストなど複数のプログラミング言語に対応しています。
Q4. CompactLogixからControlLogixへ移行できますか?
A. 可能です。両者は同じLogixアーキテクチャを共有しているため、CompactLogixで作成したプログラムをControlLogixへ移行する際に、ゼロからの書き直しが不要なケースが多くなります。設備規模の拡大や要件の変化に合わせてスケールアップできる点がLogixアーキテクチャの強みです。
Q5. 旧式のSLC-500やPLC-5から移行できますか?
A. 移行ツールが用意されており、SLC-500やPLC-5からCompactLogix・ControlLogixへの段階的な移行が可能です。完全な一括置き換えではなく、設備の稼働を維持しながら段階的に更新する方法もあります。具体的な移行計画については愛電株式会社にご相談ください。
Q6. Allen-BradleyのPLCはどこで購入できますか
A. ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社および正規代理店を通じて購入できます。正規代理店経由では、日本語でのサポート・導入後のメンテナンスまで一括して対応できます。
まとめ
Allen-Bradleyは100年以上の歴史を持つRockwell Automationの主力ブランドで、北米PLC市場で50%以上のシェアを持つ産業オートメーションのデファクトスタンダードです。ControlLogix・CompactLogix・Micro800という3つの主要PLCラインは、大規模な統合制御から小型スタンドアロン設備まで幅広い用途に対応し、すべてが共通のLogixアーキテクチャのもとに設計されています。同一のプログラミングソフトウェア(Studio 5000)で管理できる一貫性と、設備規模に合わせたスケーラビリティが、Allen-Bradleyが長く製造現場に選ばれ続ける理由の一つです。
製品の選定や導入のご相談は、Rockwell Automation正規代理店の愛電株式会社までお気軽にご連絡ください。


